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オタクのための特許入門 「特許」って何のためにあるの?

オタクのための特許入門

「特許」って、何のためにあるの?


特許って、何のためにあるんだろう?

それが、発明好きな私にとっての昔からの疑問だった。
そこで私は、この疑問をきらら所長にぶつけてみることにした。

「きらら所長、特許って、ぶっちゃけ何のためにあるんです?
「なんや? お兄ちゃん、イケメンの発明者やのに、そんなことも知らへんの?」

きらら所長は、しばらく呆れきった顔をしていた。まるで、この手の質問を発明者から受けるのが想定外であるかのようだった。

「まったくもって知りません(キリッ」

私は臆面もなく、きっぱりと言いきった。

きらら所長は、両手のひらを上に向けて肩をすぼめるしぐさをした。

「しゃあないなあ。それじゃ、お兄ちゃんのために特別に

特許について一から教えたるわ!」

「ありがとうございます、先生」

私はきらら所長に向かって丁寧にお辞儀した。

「ほんじゃ、これ!」

きらら所長は、右手のひらを差し出したまま、意味ありげに私の目を見つめた

「は……? 握手?」

私はあわてて片手を差し出した。

「ちゃうちゃう! お兄ちゃん、なに、しょーもないボケかましてるねん!」

「カネやカネ! 

 関西人が手差し出したらカネに決まってるやろ!」


「え!? 金とるのかよ!?」

驚愕のあまり私は叫んだ。

「何いうてんねん、お兄ちゃん。なんでタダでもの教えなあかんねん!
人から教えを乞うときは、それなりの授業料を支払うのが礼儀というもんやろ!
『ありがとう』で人間腹ふくれるかいな! 今までどんな教育受けてきたんや?」


小学生から教育云々いわれる筋合いはございません

とはいえ、おじさんに紹介された手前もあるので、私はしぶしぶ財布を取り出した。

「最初から素直に渡せばええんや! 関西の弁理士なめたらあかんで!

もう……関西の弁理士には一切頼みたくありません

「それじゃとりあえず、これだけや!」

そういって、きらら所長は、指を5本立てた。

「え!? 5千円もとるのかよ!?」

「なにいうてんねん!」

まさか……5万円?

私は半ば泣きそうになりながらも、財布から4万円を取り出し、残りの1万円がないことに気づいて財布をひっくり返した

すると、財布の中から一枚の硬貨が音を立ててテーブルの上に落ち、そのまま床下までコロコロと転がって行った。

「それやそれ!」

きらら所長が硬貨を指さして叫ぶ。

転がり落ちた硬貨を拾ってみると、それは50円硬貨だった。

「え? これでいいんですか?」
私は戸惑いながらも、きらら所長に50円硬貨を渡した。

「なにいうてんねん! お兄ちゃん!

 これだけあれば、うまい棒が5本も食えるやん!」


そういって、茫然と立ち尽くす私の前で、きらら所長はにっこりとほほ笑んだ。



発明は開拓だ!


5種類のうまい棒を食べて満足したきらら所長は、応接室のホワイトボードのそばに置かれた椅子の上に立つと、

「ええか! 『発明は開拓』や!」

と叫び、ホワイトボードに何やら図を描き始めた。

hatsumei_frontier1

「発明は開拓?」

私がやや首を傾げながらいうと、きらら所長がうなずいた。

「お兄ちゃん

 フロンティア(frontier)

 って知ってる?」

「ええ、大体は……。
 フロンティア(辺境)は、19世紀のアメリカの西部開拓時代に東から西へと進んでいった国境のことですよね。たしか、1848年頃にカリフォルニア州で金鉱が発見されて、開拓者達が西へと向かうゴールドラッシュが起こったんでしたっけ」

私は教科書で学んだ知識を思い出しつつ説明した。

「その時代のアメリカでは、西部開拓を奨励するために、未開拓の土地を開拓した人に無償でその土地を与えるっていう法律(ホームステッド法、1862年制定)があったんや」

「無償っていうことは、ただで土地をくれたんですか?」

「そうや

 土地に杭を打ってロープで囲って

 『ここはオレ様の土地な!』て5年間定住して耕作したら

 その土地は自分のものになったんや!」


「土地をロープで囲って耕すだけで自分の土地になるなんて、ものすごい時代があったんですね」

「そうやけど、土地がもらえる人は

 原則、早い者勝ち

 やったから、当時のアメリカ人はみんな家族総出で開拓に出ていったそうやで」

「そりゃ、先着順で開拓するだけでその土地がもらえるんだったら、みんな進んで開拓するでしょうね。ましてや、開拓した土地に金鉱が埋まっているかもしれないと考えるとなおさらですし。なにより、先着順だから、他人に先をこされてしまうと悔しいでしょうし」

「そうやな。まさしく今、お兄ちゃんがいったように

『他人より先に確保すれば独占して利益を得られる』

ていう積極的な心理と

『他人より先に確保しないと独占されて損をする』

ていう消極的な心理が大きな原動力


 になって、フロンティアがどんどん拡大していって、西部開拓が大いに進展したんや

「ここで、以下のように対比して考えると、特許の意義がわかりやすいで!」
そういって、きらら所長は先ほど描いた図のとなりにマーカーペンで次のように書きこんだ。



アメリカ西部開拓と特許制度(発明の保護)とのアナロジー

西部開拓の場合:

①新たな土地を開拓する

②先着順でその土地の独占権が与えられる(ホームステッド法)

③開拓のモチベーションが高まる

④フロンティアが拡大する

⑤西部が開拓される




特許の場合:

①新たな発明を公開する

②先着順でその発明について独占権(特許権)が与えられる(特許法)

③発明のモチベーションが高まる

④技術が進歩する

⑤産業が発達する




「つまり、『特許』というのは

新しい発明を公開した人に対して

先着順に独占権を与えることによって

発明を奨励する(「発明の保護」)


ために、国が定めたものなんや」

「それはつまり

人間の『独占欲』をうまく利用した

ということですね」

「独占欲だけやないで。
 西部開拓の場合、誰かが開拓した土地を足がかりにして、他の人が別の新しい土地を開拓できるようになるから、フロンティアの開拓がやりやすくなるメリットもあるやろ。それと同じで、特許の場合も、

誰かが公開した発明を足がかりに

他の人が別の新しい発明をすることによって

発明を奨励する(「発明の利用」)


ていう側面もあるんや」

そういって、きらら所長はさらにマーカーペンで次のように書き足した。



アメリカ西部開拓と特許制度(発明の利用)とのアナロジー

西部開拓の場合:

①新たな土地を開拓する

②その土地で金鉱が発見される

③他の人が刺激を受けて周辺の土地を開拓する(ゴールドラッシュ)

④フロンティアが拡大する

⑤西部が開拓される




特許の場合:

①新たな発明を公開する

②その発明で金持ちになる

③他の人が刺激を受けて関連発明をする(発明の触媒作用)

④技術が進歩する

⑤産業が発達する




「それはつまり、

誰かが新しい分野を開拓して成功したら

他の人がそれに『便乗』してどんどん参入してくる


ということですね」

「以上をまとめると、特許法の第1条に集約されるんや」

特許法第1条(目的)
この法律は、発明の保護及び利用を図ることにより、発明を奨励し、もつて産業の発達に寄与することを目的とする。



「法律はなんかえらい難しいこと言うてるように思うけど、一言でいえば、『特許制度』というのは

人間がもつ『独占したい』、『便乗したい』といった

心理をうまく利用することによって発明を奨励し

最終目標である産業を発達させるための制度


なんや」

「なるほど」

「そして、『特許』というのは

新しい発明を行った者に対し

その発明についての独占的な権利(特許権)

を国が特別に許可すること


なんや」

国が特別に許可するものだから、『特許』というんですね!」

(次回につづく)



ヤメケンオタクコラム


さて、みんな! 以上で、特許制度の意義は理解できたかな?

特許制度の根底を支えているものは、

『独占』と『便乗』という人間がもつ2大心理だ

ところで、『独占』は、オタク業界においてもグッズの販売促進などのために日常的に活用されていることは、賢明なオタク諸君ならすでに気づいておられるだろう。

例えば、グッズの販売が好例だ。みなさんはこのような経験がないだろうか?

いつでも買えるとわかっていると、買う気にならないグッズでも、

『先着順』で限定販売されると

なぜか欲しくなるというミステリーを……
(震え声)

これなどはまさしく『独占』の心理を利用したものだ。

すなわち、他人より先に購入できると、独占欲が満たされて限りない満足感を感じる一方で、他人に先をこされるとくやしいなどの強迫観念が生じて、不思議と購入意欲を刺激されるのだ。

このような商法としては、例えば、

初回限定版

がその典型例ともいえるだろう。

ご存じのとおり、初回限定版というのは、DVDやゲームなどで行われる販売促進手法の一つで、

独占欲が人一倍強いコレクター・オタク

をターゲットにしたものが多い


美少女ゲーム、すなわちギャルゲーやエロゲーで初回限定版を購入した者も多いだろう。もちろん、私もその一人だが……(←おい)

ちなみに、

スーパードルフィー(球体関節人形)

の開発・販売で知られるボークス


は、限定商法を多用することで有名なフィギュアメーカーであり、それゆえ限定商法のことを別名

ボークス商法

とも呼ぶそうだ。

なお、ボークスが限定販売した

ローゼンメイデンのスーパードルフィー真紅

は、今では40万円以上の価格で取引されているそうだ。この真紅の人形がいかに素晴らしいものか、ぜひ画像検索でググってみてほしい。君たちもその完成度を見れば、それだけの価格で取引される理由も十分に納得できるだろう。

一方、『便乗』の心理を利用した商法だが、これは一般に、

便乗商法

として、オタク業界に限らず一般に見られる、いわずと知れた商法だ。

『萌え』や『ツンデレ』、『ループもの』の流行

などは、まさしくその典型例といえるだろう。

大ヒット作が生まれれば、誰でもその流れにあやかりたいと思うのが人情だ。

つまるところ、特許制度というものは、けっして机上の論理から作られたものではなく、むしろ、

『独占したい』『便乗したい』といった泥臭い心理を活用し

発明に対する意欲を極限まで高めて発明を奨励し

産業の発達という究極的な目的を実現するための

きわめて合理的かつ優れたシステムである


ということがわかるだろう。

このように考えれば、今まで以上に、特許というものが身近に感じられるはずだ。



次回は、特許権が自由競争を妨げる『独占』に当たらないのか?という問題に焦点を当てる予定だ。

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#121 No title
楽しく読ませていただきました

前回の投稿に書き忘れたのですが、自分も大阪です
なので、東京ほど口述練習会や模擬試験の数が少なく早くしないと締め切ってしまうのではないかと懸念しています
論文試験が終了していからの申し込みが多いのかな?と思ってますので、教えていただいた会派や練習会に申し込もうと思います

LECで通年講座をとりましたが、一緒に勉強できる仲間でできるほどリア充ではないです・・・笑
ヤメ研さんがいわれるように、対策講座を受けるより、普段の練習結果を本番を想定した模擬等で試したほうがよさそうですね

持っているテキストは口述アドヴァンスだけですし、よく実際の口述試験を再現したテキストがありますが、自分がどのように答えるかによって流れも変わりますし、出題傾向を知る程度しかないかもしれませんね

まだ論文に受かっていないので、そこに比重をおきつつ口述のスケジュールも立てていきます

けど論文落ちてたら、申し込んだ練習会等はキャンセルできるのかな・・・(落ちることを考えたらいかん)
#123 とことん様、お返事ありがとうございます
とことん様、お返事ありがとうございます。

> けど論文落ちてたら、申し込んだ練習会等はキャンセルできるのかな・・・(落ちることを考えたらいかん)


練習会はキャンセルできなかったと思いますが、口述試験の練習は、意外と論文試験の知識の穴を埋めてくれるので、仮に論文試験に落ちていたとしても全然損はしないと思います。口述試験の練習を実際にやってみると分かるのですが、これを短答試験前からやっていればもっと早く実力がついたのにと痛感します。

ただ勉強のモチベーションアップのために口述対策講座を利用するのは十分ありだと思います。私は後先生の口述対策講座を受けたのですが、最後のほうになると主要な条文をすらすらと暗唱できる受講生が多くなり、このままじゃ奴らに負ける!と必死になって口述練習した覚えがあります。また、対策講座に参加しなかったら、そもそもエア問答のような有用な方法を知ることはなかったと思います。

論文合格発表前に口述試験の練習をするくらいなので、受講生のレベルも高く、参加するとよい刺激になると思います。対策講座も終盤になると、口述アドバンステキストがボロボロになるまで使いこなしている受講生が多かったです。これを見るだけでも格段にあせります。それゆえ、論文合格発表前の口述対策講座を受けるべきか受けないべきかといわれると、受けたほうが良いと思います。この時期、他にやることもないと思いますので……。

また、過去の口述試験の内容が論文試験にも反映されているので、できれば論文試験前に口述試験の過去問に目を通しておいたほうが良いと思います。去年の論文試験の問題にも口述試験の過去問がそのまま出題されていました。それゆえ、口述アドバンステキストは論文試験の前に必ず入手してやっておくべきです。私も論文試験前に口述アドバンステキストを暗記していたので助かった部分が相当あります。

私も商標で失敗して大きな論点を落としてしまっていたので、てっきり論文試験はダメだと思っていました。相対試験なので、他の受験生より出来ていたら受かるようです。

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