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ヤメ研口述試験『玉砕』記 其の参

『玉が砕ける』と書いて『玉砕』という・・・

『ヤメ研口述試験『玉砕』記 その参』です。第2ラウンドは、意匠法についてです。

第2ラウンド(意匠法)


さて、特許・実用新案法が無事終了し、意匠法の試験室の前でひたすら条文を唱えつつ待機していると、目の前の扉が開いて、私の前の番号の受験生が出てきた。

彼は、特許・実用新案法のときとは打って変わって、憔悴しきった様子はなく、むしろ、

晴れやかな顔をしていた・・・

やった! 意匠法は楽勝らしい! 彼の姿を見て、私の心は何気に軽くなった

そして、監督官に呼びかけられて、試験室の中に入る。

向かい側の長机には、温和そうな中年の男性(主査)と、主査よりもひとまわりは年配の男性(副査)が座っていた。副査のほうは、さながら気むずかしい大英帝国の教授か、あるいはつむじ曲がりのプロイセンの退役軍人といった感じの一種独特の雰囲気をたたえており、正直こっちが主査でなくてよかったと思った。

私は、2人の試験官を見るなり、

彼らが噂の『クマ』ではないらしいということに

まず安堵し、そして心の中で感謝した。


そして、自分の名前を告げて、一礼をして椅子に座る。

机の上を見ると、またしても、一枚のパネルが裏返しに置かれていた。

連続でパネル問題かあ~~~っ!!

パネルを見て、思わず心臓がとび出そうになる。

主査「それでは、意匠法の試験を始めます。意匠権の侵害の民事上の救済を挙げてください

私「はい。差止請求があります」

主査「他にありませんか?」

私「損害賠償請求、不当利得返還請求、信用回復措置請求があります」

主査「そうですね。どういう場合に、意匠法の侵害に該当しますか?

私「はい。登録意匠及びそれに類似する意匠の実施をすると、意匠権の侵害に該当します」

主査「・・・それだけですか?」

私「いえ、『業として』実施している必要があります」

主査「その場合、誰が使用しても・・・侵害に該当するのですか?」

私「いえ・・・『正当権原又は理由なき第三者』が業として、登録意匠又はこれに類似する意匠の実施をしている必要があります」

主査&副査(うなずく)

まずは、小手先の問題をクリア

だが、ここから本当の『地獄』が始まった・・・。

主査「それでは、以下の質問をよく聞いてください」

私(全身耳になって主査の質問に集中する)

主査「国立大学法人が、一度だけ、他人の登録意匠を実施しました。この場合、意匠権の侵害に該当しますか?

私(え・・・『国立大学法人』・・・なにそれ?)

私「侵害に・・・該当します・・・」

主査「え? 該当しますか? 国立大学法人が実施しているのですよ!」

私(だって・・・そんな話、聞いたことないもん

主査「該当しますか?」

私(だんだん不安になってくる)「国立大学法人であっても、『業として』実施しているのなら、侵害に該当します」

主査「『一度だけ』実施する場合は、『業として』に該当するのですか?(←しつこい)

私(そこまでしつこく言うからには・・・該当しないのか。ふむ・・・方針を転換しよう)(←学習する)

私「『一度だけ』実施する場合は、反復・継続して実施する行為ではないので、『業として』実施する行為には該当しません。それゆえ、『特許権』の侵害には該当しません」

ここで、副査が突如乱入。

副査「キミい~~~っ! 今は『意匠法』の問題だあ~~っ!」

副査(怒りに顔を真っ赤にして、声をぶるぶると震わせる)

私「し・・・失礼しました。『意匠権』の侵害には、該当しません」(←びびりまくり)

ここで、急速に『嫌悪なモード』に突入する・・・orz

主査「もう一度聞きます。『反復・継続して』実施しなければ、『業として』に該当しないのですか?

私「はい。『反復・継続して』実施しなければ『業として』に該当しませんから・・・意匠権の侵害に該当しません」

主査「うーん・・・(全然納得していない様子)。それでは、営利を目的とする企業が実施した場合はどうですか?

私(営利を目的とする企業・・・?)「企業の場合は・・・『業として』実施をしていますので、侵害に該当します

主査「なぜですか?」

私「ええと・・・企業は、『反復・継続して』実施をしているからです」

主査&副査「・・・・・・(無言)」

私(めっさ焦る)「あ・・・・・・仮に、国立大学法人が、『試験や研究の目的』で実施している場合は、意匠権の効力は及びません」(特許法の69条を、意匠法に準用していたか、うろ覚え状態で答える)

主査「は・・・? 試験・研究・・・ですか?

副査「・・・・・・」(思いっきり胡散臭そうな目で私を見る)

私(お願い! そんな目で見ないで!)(←おい)

主査「ま・・・いいでしょう・・・。次へ行きましょう・・・ふぅ」(ため息)

私(なんかヤバイ・・・! マジでヤバイ!)(←脳内でアラートが鳴りまくる)

主査「次の質問です。意匠の類否判断はどのように行われますか? 条文を挙げて説明して下さい」

私「登録意匠とそれ以外の意匠が類似であるか否かの判断は、意匠法の24条2項に規定されており、『需要者の視覚を通じて起こさせる美感に基づいて行われる』とあります

主査「それでは、なぜ意匠権の効力が類似範囲にまで及ぶのですか?

私「(青本の趣旨を思い出す)意匠法の保護対象は、特許法の保護対象である発明と同じ創作物であり、特許権の効力は発明の同一性の範囲に及ぶとした特許法と『同様の構成』としたためです

主査「『同一性の範囲』に及ぶと、なぜ類似の範囲に及ぶことになるのですか?

私(だって・・・青本にそう書いてあるんだもん・・・!)

主査&副査「・・・・・・(沈黙)」

私(必死になって考え、LECの『江口レジュメ』に記載されていた趣旨を思い出す)

私「意匠法は、物品の美的外観を保護するものであるため『同一性の幅が狭く』、類似範囲にまで効力を及ぼさなければ、意匠法の保護の実効性が図れないからです

主査「そうですね」(ようやく納得顔)

私(青本通りの回答じゃ、ダメなのかよ~~っ!)(←魂の叫び)

主査「それでは、次の問題です。組物の意匠の意匠権があります。その構成部分のみを第三者が販売した場合、組物の意匠の意匠権に基づき権利行使できますか?

私「いいえ、できません。組物の意匠の意匠権の効力は組物全体に及びますので、構成物品には効力が及びません

主査「・・・どういうことですか?」

私「ええと・・・」(ここで、質問の意図が分からなくなったときは、趣旨を述べると良いというアドバイスを思い出す)

私「・・・従来は、審査において、構成物品の登録要件も見ていましたが、効力自体は、『組物全体』にあるため、登録要件の審査とその権利行使との間に不整合が生じてしまったため、構成物品の要件がなくなったという経緯があります

主査「つまり・・・『物品全体』として、どうなんですか?」

私(『物品全体』という言葉に主査が反応したのを見て、ようやく質問の意図に気づく

私「はい。『物品全体として統一ある美感』を保護するため、組物の意匠の意匠権の効力は、物品全体にのみ及び、個々の構成物品には及びません

主査&副査(うなずく)

私(思わず安堵する)

主査「次に、関連意匠の意匠権について、関連意匠にのみ類似する意匠を第三者が販売していた場合、意匠権の侵害に該当しますか?

組物の意匠の次は、関連意匠かよ!!

私「該当します」

主査「その理由をおっしゃってください」

私(同じく趣旨から答える)「従来は、類似意匠制度を採用していたのですが、類似意匠制度においては、類似意匠自体には、独自の効力が認められていませんでした。しかしながら、関連意匠は、本意匠と同じく、独自の『創作的価値』を有するため、関連意匠制度においては、関連意匠も本意匠と同様にそれ自体『独自の効力』を有するため、関連意匠にのみ類似する意匠の実施にも効力が及びます

主査&副査(うなずく)

(ここで、1回目のチャイムが鳴る)

チャイム鳴ったのに、まだパネル開いてねぇよ・・・やべえ・・・

主査「それでは、机の上のパネルを開いてください

私(おっしゃあ! 勢いよくパネルを開く)

パネル(左側に四角い通常のカバン、右側に菱形?のカバン。両方のカバンには、同一形状の取手が付いている。左側のカバンの全体図は点線で記され、取手部分のみが実線で記載されている。一方、右側のカバンは、取手部分を含めた全体が実線で記載されている

げ・・・今度は、部分意匠かよ!!

主査「左側のカバンに意匠権があります。この場合、右側のカバンの意匠を実施した場合は、侵害に該当しますか?

私「はい。該当する場合があります」

主査「どういう場合に侵害に該当しますか?」

私「この場合、部分意匠に係る物品と、右側の意匠に係る物品とは、ともにカバンで同一であり、部分意匠に係る取手部分と、右側のカバンの取手部分とは、用途・機能が同一、形態も同一であるため、全体として、取手部分のカバン全体に占める位置・大きさ・範囲が同一又はその意匠の属する分野においてありふれた範囲内にあるものと判断されれば、侵害に該当します

主査&副査(うなずく)

(今思えば、カバン本体の形状が違いすぎるため、

ありふれた範囲内にあるとは到底思えないのだが、

全ては、後の祭りだった・・・orz)


主査「次に、部分意匠制度の趣旨を述べてください

私「部分意匠制度は、独創的で特徴ある部分を取り入れつつ、意匠全体として侵害を回避する巧妙な模倣から保護するために設けられたものです」

主査「これで、パネル問題を終了します

私(まだ、2回目のチャイムが鳴っていない。

やった! ギリギリセーフだぜ、父さん!)


と、喜んだのもつかの間・・・。

主査「それでは、ここでもう一度、はじめの質問に戻りましょうか

私(まだ、続きがあるのかあぁ~~~~~っ!!

長い・・・・・・長すぎるよ! 父さん・・・!!(泣))


主査「『業として』の問題ですが・・・。もう一度、はじめから説明してくれませんか?

私(いやだあぁ~~~~~~っ!!)(←半ば思考停止状態)

私(ここでようやく『企業』という言葉の意味にようやく思い当たる)

私「事業を目的として実施する場合は、『業として』に該当しないため、意匠権の侵害に該当しません」

主査&副査(うなずく)

主査「それでは最後に、今おっしゃったことをまとめてください」

私「はい。国立大学法人が『一度だけ』実施する場合は、反復・継続して実施するものではないため、事業目的で実施するものではありません。それゆえ、『業として』の実施に該当しないため、意匠権の侵害には当たりません

主査「つまり、あなたがおっしゃいたいのは、『業として』には、反復・継続して実施することが必要ということでよろしいのですね?」(念押しするように)

私「はい! そうです!」(←思いっきり胸を張って答える)

(しかしながら、後で『江口レジュメ』を確認すると、

意匠法の「業として」は、『広く事業として』の意味であり、

『営利性・反復可能性は問わない』と書いてあった・・・orz)


主査「(副査に向かって)・・・どうでしょうか?」

副査「う~ん。まあ・・・いいんじゃないですか?」(←といいつつ、全然納得していない様子

主査「それでは、これで意匠法の試験を終了します

(終了と同時に、2回目のチャイムが鳴る)

この時点で、その日持っていた

全MPを使い果たしてしまった・・・


なんだか、終始、姑と小姑にいびられる嫁のような気分で、どうにもスッキリしない問答だった。だが、少なくとも、

副査の心証を害しまくっていたことは

確実といえるだろう


副査に怒鳴られたショックのあまり、よろめくように試験室を後にする私だった・・・。

というわけで、次回は、まだまだ地獄は続くよ、商標法です。

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